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「私の夢は大きくなったら寛太のお嫁さんになることです」
クラス中が大騒ぎでざわざわと笑い声が聞こえる。
「雪子は寛太と結婚するのか」
周りの状況をみかねて座っていた先生が慌てて立ち上がった。
「静かにしなさいね。笑うのもやめなさい。夢は1人1人違っていていいのですよ」
後ろの席で学級委員の男子が手を挙げて立ち上がる。
「でも先生、笑うなって無理です」
寛太は下を向いて照れていた。
雪子は目を大きくして真剣な表情をしていた。
「だからみんなの前では言うなって言っただろう。あんなことを言ったらからかわれるだけだろう」
寛太は学校の帰り道、雪子と並んで歩いている。
「いいの。私は言ったことは後悔していない。私の夢だからみんなに聞いてほしかった。みんなに笑われることより寛太が不機嫌になることが悲しい。寛太そんな冷たい
態度をとられるとは思わなかった。私は先に帰る」
雪子は急に走りだし、すぐに姿が見えなくなった。
寛太は直ぐに追いかけようとしたが後ろから掛け声が聞こえた。
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