夢はそれぞれ違っていい。

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貫太と雪子は焼き鳥のひな鳥の近くにある喫茶店に入った。 「懐かしいな。新潟にはよく帰ってきているのか」 「いや。15年ぶり。でもこの前に裕太君に東京で会ったのと同じタイミングで同級生から同窓会をやろうという話がきていたんだ」 「そうなんだ。タイミングが良かったね。裕太から聞いたよ。出版社で働いているんだって」 「そう。私は世の中に少しでも影響を与える本を紹介したいと思ったから出版社を選んだの」 「私は必ず大きくなったら、必ず1回は新潟に帰ってくるつもりだった。大人になるまで秘めていた夢があったから」 「そうなんだ」 「まさか、忘れてないわよね。貫太君のお嫁さんになる夢」 「忘れてないよ。俺も覚えている」 「そう。じゃあ私と結婚してくれるの」 貫太は驚いた表情をした。 「いや、15年ぶりに会っていきなり結婚するかと言われてすぐに即答出来ないよ」 「じゃあ、しないということなの」 雪子は一瞬、不機嫌な顔した。 子供の頃から顔に感情が出やすいタイプなのは変わっていないみたいだ。 「そうとも言っていないだろう」 「じゃあどっちなの。はっきりしてほしい」 「だからその、もう少し考えさせてほしい」
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