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雪子は手のひらを突き出した。
「全てを捨ててはダメ。貫太君が本気なら3年後に準備して東京に迎えにきて。私もそれまでに一緒に生活出来るように準備するから」
「わかった。必ず迎えに行くから」
貫太は座席に座る雪子に対して大きく力強く手を振った。
雪子は笑顔で振り返す。
雪子を乗せた新幹線が去っていった。
貫太は考えながら歩いた。
子供の頃に描いた夢は大人になると想像したものとは少し違ってしまう。
しかしそれでも修正を加えれば問題もない。そう思った。
歩いていると季節はずれのみぞれが地上に舞い降りていた。
貫太は今の気持ちを鼓舞する紙吹雪ような気がした。
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