第一章 おれとアイツの出逢い 初見は修羅場で

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自分のドジで見つかってしまい、このザマである。 奥の手を使うにしてもまだそのタイミングじゃないし、不良数人とおれ一人では分が悪い。 なんとか逃げ道を確保して、左右の奴らの動きを止めたらその次に目の前の奴を……。 「おい、そこで何してる?」 脱出する算段をしていると、どこからか低くて凛とした声が聞こえた。 その場にいた皆が一斉に声のする方を見る。 そこにいたのは黒いスーツを纏った一人の男だった。 薄暗くてよく見えないけど、キレイな顔立ちをしてると思う。……多分。 いや、だって暗くてよく見えないし! 雰囲気的にイケメンかなって思っただけ! 歳は23歳のおれより上なのは間違いないと思う。 男はゆっくりとした足取りでこちらへ歩いてくる。 「なんだテメェ?オレらただ遊んでるだけだけど?邪魔すんなよ、おっさん」 この不良達のリーダーだろうか。 不良のうち一人が男を睨みつけた。 それに臆することなく男は毅然としている。 「ほう?この俺をおっさん呼ばわりとはいい度胸だな。後悔する覚悟は出来てるんだろうな?」 男はニヤリと笑って挑発的に不良達を見回した。 この男が何者なのか気になるところではあるが、とりあえずここからの脱出を優先しよう。     
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