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幸いなことに皆突然現れたこの男に気を取られている。
一触即発な雰囲気そっちのけでおれは神経を集中させる。
それと同時に不良達がざわめき始めた。
もしかしておれが何かしようとしたのがバレたのか?
と思ったけどどうやらそうではないらしい。
「おい、マズいって!」
「あぁ?何だよ」
「あの人多分、龍ケ崎(りゅうがさき)さんだ」
「マ、マジかよ?」
何やら不良達が急に慌てだした。
さっきまで強気だった不良達は何処へやら。
不良達のリーダーは居住まいを正し、先程とは打って変わってにこやかに黒スーツの男に向き直った。
「こ、これは失礼致しました。貴方が龍ケ崎さんとは知らず無礼な態度を取ってしまい大変申し訳ございませんでした」
取り繕うように謝罪した不良達を黒スーツの男はただじっと見ていた。
その間もおれは両腕を掴まれたままだ。
さっきよりは拘束緩いけど。
「今更謝罪か?まぁ、今日のところは許してやる。次はないからな」
黒スーツの男は念を押すように不良達を睨む。
それに怯えた不良達はネックレスをおれに投げつけ、「すいませんでしたー!」とその場から逃げるように去っていった。
その光景に思わずぽかんとしてしまう。
その場に取り残されたネックレスとおれ、そしていかにもやばそうな黒スーツの男。
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