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龍ケ崎冬吾という変態
「それおれのネックレス……!」
龍ケ崎さんはニヤリと笑う。
昨日はそれどころじゃなかったから分からなかったけど、この人本当に顔が整ってる……。
綺麗な顔立ちと細くて切れ長の目が相まってやや冷たい印象を受ける。
いかにもデキる男って感じがするな。
「これ返して欲しいか?」
龍ケ崎さんはネックレスを前に突きつけた。
目の前でネックレスが揺れる。
「当たり前だ!」
おれはそう言いながらネックレスに手を伸ばす。
……が、おれの指がネックレスに触れる直前、龍ケ崎さんはネックレスを持った手を引っ込めた。
「……おい、どういうつもりだ!」
おれの問いに龍ケ崎さんは答えずニヤリと口を歪ませる。
「返して欲しかったら俺から奪い取ってみろ」
「はぁ?」
本当にこの男の目的がわからない。
ただ簡単には返してくれないらしい。
龍ケ崎さんはネックレスを持った手を頭の高さまで上げて、左右に揺らす。
コイツ、おちょくってんのか……!
届くか届かないか微妙な高さだな。
男にしては少し低めの身長がここに来てアダになるとは思わなかった。
おれは背伸びをしてネックレスに手を伸ばす。
よし、届いた!
ネックレスを掴んだその瞬間。
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