春一番

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更に追い討ちをかけるかの如く、 母が娘の初交際について訊きたがり。 別れたことを言い出せなかった私は、 離婚したばかりの啓太くんの所へ逃げた。 全然その重さは違うのだが、 なぜかあの頃の私は 離婚と失恋を同じレベルだと思っていて。 この胸の痛みを分かってくれるのは 啓太くんしかいないと信じていたのだ。 20歳年上のバツイチ男の家へ、 女子中学生が1人で遊びに行く。 それが許されたのは、 啓太くんという人がとにかくモテモテで。 中学生に手を出す必要が無かったことと、 私が小さい頃から 面倒を見てくれていたこと、 そして啓太くんにとって私は そういう対象では無いと 誰もが知っていたからであろう。 母は私を止めようともせずに、 むしろ差し入れを持たせてくれたほどで。 たぶん離婚直後でかなり荒れた生活を 送っていた可愛い後輩を、 これまた可愛い娘の力で立ち直らせよう と企んでいたのだろう。 母の目論見どおりに、 口うるさい私のお陰で部屋は片付けられ、 ボサボサだった髪やボーボーだった髭も きちんと整えられて。 みるみるうちに啓太くんは復活した。 私の方も、愚痴を言いまくったお陰で 表面上は立ち直ったかに思えたが、 武流の言葉がトラウマになっている様で なかなか恋愛関係は上手くいかず。 高2の秋に、3人目の彼氏と別れる。
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