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生まれ育ったのは最寄りの駅まで車で三十分かかるような辺鄙な田舎町。私は高校進学を機に今年東京に出てきた。
幼なじみの友達と離れるのは寂しかったけど、夏休みには必ず会おうと約束した。
娘を心配しすぎる両親が未だに毎日電話をくれるので、嬉しいんだけどちょっと面倒臭かったりもする。
高校の友達に連れられて初めて渋谷の街を訪れたとき、不安と興奮で眩暈がして倒れそうになったのを覚えている。人込みだけはどうしても慣れない。
今度のハロウィンで一緒に仮装しようと誘われたけど丁重にお断りした。
でも、友達付き合いは大切だし、少し悩んでる。
駅前の交差点で事ある毎に行われている乱痴気騒ぎ。メディアがよく取り上げるので興味が無くてもその酷さはよく知っていたから。
都会の華やかさには憧れていたけれど、そういうのは違うと思う。
やってはいけないことでも平然とやっていて、簡単な禁止事項も無視して、あそこまでの醜態を堂々と人前に晒せるのが不思議。
テレビに映るあの人たちを見ていると、人として恥ずかしいことでも意気揚々と行っていて知性の欠片も感じられなくて、まともに会話も通じないことがはっきりわかって他人が怖くなる。
地球上には何十億人もいるわけだから、人間から猿に近づき、そして猿より下に落ちていくような人たちが現れるのも当然なのかな。
そんな、手の施しようのないヤバイ人たちがこれ以上増えてしまったら、世の中が壊れてしまうんじゃないかと心配になる。
そう、世の中にはヤバイ人はどこにでもいるし気を抜いちゃいけなかったはずなのに。
深夜に決行したのが失敗だった。
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