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藁のにおいだ。
干し草の香ばしさがやや乱暴に鼻をくすぐる。
ぼんやりとした意識で目を開ける。柔らかな日差しが鉄格子のはまった窓から、緩やかに降り注いでいた。
ここは‥‥‥どこ?
ゆっくりと辺りを見回してみる。鉄格子のはまった窓。所々に盛られた干し草の山、山、山。それだけ、後は何もない。
見たこともない景色に突然放り出された感覚に、まだまどろみの淵にいた頭が騒ぎ始めた。
慌てて立ち上がろうにも、よろよろとした両足はなかなか言う事を聞いてくれない。‥‥‥これではまるで生まれたての子鹿じゃないか。
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