予知夢

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   「脳の中には、時間の前後を司る部位が存在するのだよ。  君の言う『予知夢』という現象は、脳のその部位の機能が、前後の出来事を誤認識しているのかもしれない。  まあ、とにかくだね、これからは枕元にノートを置いておいて、朝、目が覚める度に見た夢を書き記しておきなさい。  それからまた詳しく検証していくべきだね」  あくまでこのときは、ちょっとした雑談の延長で出された話題でしかなかったので、私は曖昧に笑ってその場を取り繕うと、そこで話を終わらせました。  それ以来、このドクターとは『予知夢』について会話の続きをしたことはありません。  医師とは忙しいものですし、たかだかイチ職員が戯れに口にしたことなど、いちいち気に留めたりしないのでしょう。  私は普段からジョークをよく言う方だったので、真剣に受け止められることもありませんでした、まあ…そうなると分かっていたから、このドクターに『予知夢』について打ち明けたわけですが。  さて、ここまでご覧になられてみて、いかがお感じになられたでしょうか?  これで私が語る『予知夢』についての話は終わりとなります。  
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