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――美玲。僕は本当に幸せだよ。
君が隣にいてくれるだけで、君がそうやって幸せそうに笑ってくれるだけで、僕はまるで天にも昇るような気持ちになるんだ。
だって、そうだろう?
平凡で凡庸で十人並の僕が、君みたいな素敵な女性をお嫁さんに出来るなんて、誰が想像出来た?
誰も想像すらしていなかっただろう?
その証拠に、ほら見てよ、うちの両親のあの浮かれっぷり。もう既に、孫だ孫だってそんなことばっかり言ってきてるんだ。もちろん親族全員が、君に似てくれることを願っているよ。
あそこにいる同僚達は、僕に妬みの籠った視線を送ってきてるね。当然だ、実は君が入社した時、誰が君を落とせるか、あの辺の奴らはみんな躍起になっていたからね。
あの奥にいる君の友人たちは、祝福しながらも、ちょっと腑に落ちないような顔をしていたね。うん、まぁ、それも当然だよね。君みたいな人が僕のような奴を選んだことが不思議でしょうがないんだろう。
きっと僕以外の全員が、不思議に思っているよ。
ねぇ、美玲。今日この日を迎えるまでに、色んな所に行ったね。たくさん話して、たくさん笑ったね。
たまに喧嘩もしてしまったけれど、結局いつも僕が謝っていたね。
実は言うとね、僕は君の怒った顔もすごく好きだったから、わざと怒らせた時もあったんだ。拗ねたように頬を膨らます君が、可愛くて可愛くて仕方なかったんだ。
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