ノンフィクション・ラブストーリー

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「ごめんなさい。獅子座のあなたです。今日は厄介ごとに巻き込まれやすそうな一日です。大人しく慎重に過ごすが吉。 そんな獅子座のあなたのラッキーカラーは……」 申し訳なさそうに喋るアナウンサーの声を遮り、テレビを消した。 残った目玉焼きをかき込み、皿とマグカップを手に立ち上がる。 僕は迷信や占いの類いは、信じないタチだ。 それでも、大して興味もない占いに、僕の大して高くもないテンションは、別にする気もなかったのにしてしまった少し期待のせいで、確実に一段階落ちた。 だから、こういう発表の仕方は嫌いなんだ。 マンションを出ると、管理人が玄関前を掃除をしていた。 僕は何かと口うるさいこのオバサンが苦手だった。 目を合わせず会釈と共に「おはようございます」と言葉を落とし、僕は駅の方向へと向かう。 背中に投げ掛けられた「いってらっしゃい」は、どうでもよさそうな声色だった。 ホームへ上がって3分後、滑り込んできた満員電車に乗り込む。 なんとかポジショニングを取り、目をつぶり、心を無にする。社会人六年目、大して仕事も出来ない僕が習得した数少ないスキルのうちの一つだ。
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