ノンフィクション・ラブストーリー

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僕の存在意義とはなんなのだろう。 こういう時、ごくたまに、年に一回か二回か……いや、四回くらい、そんなことを考えたりする。 僕がいなくなっても、当たり前に世界は回る。 世界どころか、日本も東京も僕の勤める会社ですらも、いつもと変わらない通常運転だろう。 もし僕がいなくなったとして、泣いてくれる人は、どれくらいいるのだろう。 田舎の両親、二つ上の兄貴、友達……はどうだろうか。社会人になり、同郷の友人とはすっかり疎遠になっている。 そんなに遠くない場所に住んでいるはずの大学の友人でさえ、そうだ。最後に連絡したのはいつだったろう。 彼女も、もう数年いない。 ふと、ポスターが目に飛び込んできた。 ずらりと何枚も並ぶそれは、有名私立大学のオープンキャンパスの誘致のポスターだった。 『君の人生は、君が主役だ』 そんなキャッチコピーが、目立つ赤色で躍動感たっぷりに書かれている。 それはそうだろうと思った。 どんなに脇役ポジションの奴だろうが、そいつの人生ではそいつが主人公だ。 だけれど、一生パッとしない、山も谷も何もない物語だったとして、その主人公でいることの意味はあるのだろうか。
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