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僕は今日、運命の出会いをした。
社員食堂や廊下、エントランスとかで、僕は何度も彼女を見かけていて、その度に目で追っていたから、正確には今日が出会いではない。
だけど、彼女からしたら、僕なんて人間として認識すらされていない、ただ目に映る風景の一部でしかなかったはずだ。
だから、今日が僕たちの出会いの日になるのだ。
何が厄介ごとだ。
やっぱり、占いなんて当てにならない。
僕はしてやったりな気持ちでほくそ笑む。
とても晴れやかな気持ちだった。
帰りにもまた会った管理人のオバサンに、つい笑顔で挨拶してしまうほどに、気分が良かった。
ベッドに入ってからも、彼女の笑顔が頭から離れなかった。
胸が高鳴るせいで眠れないなんて、一体いつぶりだろう。
彼女と出会い、僕の平凡で凡庸な代わり映えのない日常は一変した。
この日から、眩いほどにきらきらと輝き始めたのだ。
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