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夕焼けをバックに心許なさそうに僕の返事を待つ彼女は、とても美しかった。
僕の顔は、夕焼けに負けないくらい真っ赤に違いない。
僕は恐る恐る、彼女の肩に触れた。指は情けないほどに震えていた。
細く華奢な肩をそっと抱き寄せる。
「僕も……僕も、好きです。桜井さんが好きです。絶対、絶対大事にします。……僕の彼女になってください」
僕の腕の中で、彼女がこくこくと何回も頷いてくれる。心臓はうるさいくらい響いている。
僕の心臓はここ最近ずっとこんな調子で、そろそろ壊れてしまうのではないかと心配になるほどだった。
顔を少し上げ瞼を閉じた彼女に、僕は少しだけ屈み、顔を寄せた。
今までの人生で、こんなに嬉しかったことがあっただろうか。いや、なかった。
僕の人生でこんなにも嬉しかったことなんて、他にあるはずがない。
僕は一生、今日この日のことを忘れない。
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