リフトに乗った君

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 せっかくいい感じで終われそうなのに、キモがられたら辛い。  そんなことを思いながら躊躇していると、 「ゆきー、急げばもう一本行けるから最後にみんなで滑ろうよ!」 「あ、うん! そうだね!」  とっさにそう返事してしまった。 「じゃあ、最後楽しんでくださいね」  そう言って、彼はあっという間に行ってしまった。  初めての冬。  私は不思議な経験をした。  まったく滑れなかった私を、魔法のように滑れるようにしてくれた男の子。  ヒーローのように格好いい男の子。  名前も年もわからない年下の男の子。  とても刺激的な出来ごとだったけど、同時に思い出したくないほどの後悔を残していった男の子。  ーーねえ、君は誰だった?
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