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リフトに乗った君
私は今、とても焦っている。
三ヶ日も終わり、大学の冬休みもまだ余裕がある1月の半ば、女子の友人たちに誘われて、私は初めてのスノーボードツアーに参加した。
ツアーといってもゲレンデまで面倒を見てくれるわけではなく、昨日から1泊で、友人たちと自由にスノーボードを楽しんでいた。
しかし先刻、その友人たちとはぐれてしまった。
運動音痴で二日目になってもまともに滑れず、さらに方向音痴で地図を読むのも苦手な私は、滑るコースなどは全部友人にリードしてもらっていたので、急にひとりになってしまうと、現在地すらわからない状況となった。
しっかりしていなかった自分が悪い。
自分の位置ぐらいわかっていなきゃだめだった。
ここが待ち合わせのリフトだったはずだ。
だがしばらく待っても先に行ったはずの友人はひとりも来なくて、連絡を取ろうにも、フル充電だったはずのそれはなぜか電源が落ち、うんともすんともいわなくなっていた。
どうしようもなくなった私は、友人たちが先に行って待っているかもという可能性にかけて、まだひとりでは怖いリフトに、何とか乗り込んだ。
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