リフトに乗った君

1/15
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

リフトに乗った君

 私は今、とても焦っている。  三ヶ日も終わり、大学の冬休みもまだ余裕がある1月の半ば、女子の友人たちに誘われて、私は初めてのスノーボードツアーに参加した。  ツアーといってもゲレンデまで面倒を見てくれるわけではなく、昨日から1泊で、友人たちと自由にスノーボードを楽しんでいた。  しかし先刻、その友人たちとはぐれてしまった。  運動音痴で二日目になってもまともに滑れず、さらに方向音痴で地図を読むのも苦手な私は、滑るコースなどは全部友人にリードしてもらっていたので、急にひとりになってしまうと、現在地すらわからない状況となった。  しっかりしていなかった自分が悪い。  自分の位置ぐらいわかっていなきゃだめだった。  ここが待ち合わせのリフトだったはずだ。  だがしばらく待っても先に行ったはずの友人はひとりも来なくて、連絡を取ろうにも、フル充電だったはずのそれはなぜか電源が落ち、うんともすんともいわなくなっていた。  どうしようもなくなった私は、友人たちが先に行って待っているかもという可能性にかけて、まだひとりでは怖いリフトに、何とか乗り込んだ。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!