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ゴーレムのスピード、判断力が、先ほどとは桁違いだ。ゴーレムの本来の機能が解放されたと考えていい。原因は分からない。リアンとの戦闘の衝撃か、自己修復を発動させた時か。
「素手じゃ分が悪いな」
リアンは纏っていたマントを外し、ばさっと振るった。それは一瞬で長剣に変化した。
「出来れば刻みたくなかったんだけどな」
リアンは長剣を構え、ゴーレムを睨み付けた。
3
「おいこら、ラーズ、何だよあの動きは!」
「僕だって知らないよ。実際にゴーレムと闘った神様は眠ったままだし、創った連中ももういないし。ただ言えるとすれば」
「すれば?」
「完全覚醒した、としか」
「完全覚醒?」
「あのスピードと再生能力。周囲から『力』を吸い上げているのか、蓄積していた『力』を使ったのかは分からないけどね」
ラーズは厳しい表情でゴーレムを見据えていた。
「どちらにしても、リアンの『力』がどこまでもつかだな」
「『力』って、この辺の大地の力か?」
キリアはそう言って辺りを見渡した。木々も草木の姿を消し、もはや大地に生命の息吹を感じない。
「……もしかして、もうないんじゃないのか?」
「ああ。数百年かけて溜め込んだ地力が底を尽いた。後はリアン自体がどれだけ溜め込んでいるかだ」
「リアンが?」
「耳に水晶石があるだろう?」
キリアがリアンに目を向けた。両耳のピアスに小さな水晶石がぶら下がっていた。
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