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「え? ああ、あれの事か?」
「ああそうさ。あれが今のリアンの全てだ。あれが尽きればもう手がない」
「そんな……」
キリアはリアンを凝視した。
リアンの耳の水晶が、淡い燐光を放っていた。
「あれっぽっちで何が出来るんだよ」
「まぁ片耳だけで、数十年分の『力』は溜め込んであるは思うけど……心許ないな」
「どれくらい持ちそうだ?」
「そうだなぁ」
そう言ってラーズは腕を組んだ。
「後一撃か、でも剣を出したからもうちょっといくかな」
「曖昧だなー」
「仕方ないだろう? ここから見てるだけなんだから」
そう言っている間にゴーレムの一撃がリアンを見舞った。リアンは長剣でそれを受け流す。お互いの防御結界がぶつかり火花を散らす。リアンの右耳の水晶の光がふっと消えた。
それを見たラーズが一言。
「前言撤回。本当に後一撃食らったらもう手がない」
「えええ? 何とかなんないのかよ」
「僕にはどうにも出来ないよ。僕が使える『力』はここにはない」
ここは大陸の真ん中だ。島々の神々のラーズが借りる事が出来る『力』はここにはない。
「なら……俺に出来る事はないのか?」
「お前にか……」
ラーズは黙り込んだ。しかし「ない」と即答しない。
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