15人が本棚に入れています
本棚に追加
「でもギニアスは別ルートから情報を得て、この国にいる唯一の魔女、リアンの存在を知った。これは隠せなかった。だから正直に言ったよ。この国には少々偏屈な魔女がいるってね」
「……偏屈は余計だ」
そう言うリアンの言葉にはもはや力がなかった。
「それに消えた『山』には色々噂があってね。どことなく人間の形をしている巨大な岩山。どんな噂か知ってる?」
「……知らない」
「そうだろうね」
リアンが半眼になった。
「ルーデシアス?」
「おっと、別にリアンをバカにしているんじゃないんだよ。知らなくて当然だし、リアンもまさか、その『山』に変な噂が立っているなんて気にしてなかっただろう?」
「まぁ、そうだけど……で、その噂って?」
「うん? ああ、形と年代から、貴重だと主張する連中がいてね」
「へぇ?」
「へぇ? まぁ神様御自らすれば、気にもならない些細な発想なんですけどね」
「何か、嫌味に聞こえるのは気のせい?」
ルーデシアスはリアンの苦言を無視した。
「発想──と言うより、人間の文化ってヤツかな。人間は神を本能的に畏れる。いくら暢気な大地の末裔でもそう言う輩はいる。で、『神の山』として、文化遺産の登録に向けた運動が起きててね。それが一晩で消えてなくなった」
「……は?」
最初のコメントを投稿しよう!