15人が本棚に入れています
本棚に追加
リアンは開いた口が塞がらない。ゴーレムが封じてあった場所は、そもそも人間が簡単に入り込める場所ではない。その上破壊の象徴たるゴーレムを、文化的な象徴として遺産にしようなどとする人間が現れるんて、考えもしなかった。
「人間はね、どんどん変わっていくんだよ」
「悪かったわね。神様は進歩がなくて」
リアンがぶすけた顔でぶすけた声を出した。
「さて、話を戻そうか」
ルーデシアスは口元を歪め頭を掻いた。この無邪気な神様のご機嫌を取るのは難しいようだ。
「文化遺産の団体の動きと、ギニアスの動きが一致しているんだ」
「一致?」
「そう。先月、まだ『山』が消える前。遺産登録の申請書類が僕の所に来た。何のこっちゃと思って放っておいたら、翌日にギニアスが来たんだ。宮廷付きの魔導師として雇ってくれってね」
「……って事は『山』の噂、ゴーレムの情報を知っていたって事?」
「まぁ、そうだろうねぇ」
「あんた何を暢気に」
「正確な情報は僕の頭の中だけど、伝承はね。どこに行っても残ってる。今思えば、それが目的だったのかも知れないね」
「……あんたはそれを黙って受けれたわけね。私に黙って」
「神はかつての争いのため人から見放された──忘れてはいないよね」
「それは……」
最初のコメントを投稿しよう!