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「ああ、勘違いしないで。僕は何もリアンを責めているんじゃないんだ。ただ、人間の営み──今回の場合は、宮廷付きの魔導師の選定だけどね。まさか島々の末裔とは思わなかったが、それを元・神様に報告する義務はないって事だ」
「……干渉はしない。約束だからね」
「そう言う事」
「でもね、ルーデシアス。アレは危険なの。定期的に点検しないと、暴走の恐れがあるの」
「え? それは初耳だ」
ルーデシアス急に真顔になり、リアンに向き直った。今度はリアンが顔を背ける番だった。
「こっちの都合だからね」
「それならそれで、なんで事前に僕に相談しない? そうすれば『秘密裏』に出来ただろうに」
「……悪かったわ」
ルーデシアスは天を仰いだ。
「済んだ事は仕方がない。とにかくギニアスを呼ぶ。話を聞かないと」
「そうね」
「その前に」
「何?」
「その手、離してくれないかな」
リアンはルーデシアスの胸ぐらを掴んだままだった。
「おっと、これは失礼──陛下」
「うむ。無礼は許そう。そなたと私の仲だ」
「恐れ入ります。ってさっさと呼びなさいよ」
「はいはい」
ルーデシアスは呼び鈴を鳴らした。程なくギニアスが姿を現した。
「陛下にはご機嫌麗しゅう」
ギニアスはルーデシアスに一礼すると、リアンに目を向けた。が、その目はリアンに焦点を結んでいなかった。
「来客ですかな? それでは私はお邪魔ではございませんか?」
「いや……来客って、先日会っているだろう?」
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