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ルーデシアスが問うが、答えは返ってこなかった。リアンは「もしかして」とつぶやき、ギニアスに質問を投げかけた。
「あんた、誰?」
「ギニアスと申します」
「私は誰?」
「存じ上げません」
「ふぅん……」
リアンはちょっと考えて、小声で「ラーズの大馬鹿野郎」と呟いた。
「何か申されましたか?」
「ルーデシアス」
「うん?」
「やられた」
「うん?」
リアンは右手をさっと横に薙いだ。途端、ギニアスは掻き消えた。
「!」
ルーデシアスは、玉座から立ち上がった。
「幻影ね。ただでさえ紙切れみたいな結界が弱まってるなぁと思ったら……」
「ギニアスはリアンの家か」
「一応手は打っておいたけど、ギニアス本人をあの村長が相手できるかな……」
「僕に出来る事は?」
「一個師団。すぐ庭園に並べて待機」
「分かった──衛兵!」
即座に分隊長が参集し、師団長に命令が伝達される。
「じゃ、私は先に行ってる」
「ああ、分かった」
リアンは指を鳴らし、爆音と共に掻き消えた。
8
キリアは、やっとの思いでリアンの家に辿り着いた。が、そこにはワケの分からない連中がいた。見える範囲で四〇名ほど。全員が黒塗りの短剣を帯刀していた。とりわけ、漆黒のローブを纏い、くくくと嗤っている男が不気味だった。
「何だコイツら?」
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