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こんな時、手入れされていない庭は便利だ。キリアは物音一つ立てず、生い茂った草木に身を隠し家に近づいた。近づくにつれ、ワケの分からない連中の声が聞こえて来た。
「本当にここにあるのか」
「ギニアス様が仰っているのだ。間違いあるまい」
「しかし、こんな小汚い家のどこに『ゴーレム』がある? そんなに小さいのか?」
──『ゴーレム』!
この連中は『アレ』が『ゴーレム』である事を知っている。だが『ゴーレム』がどこにあるのか、まだ分かっていない。
──こりゃ早いトコ、リアンと合流しないとなぁ。
だが肝心のリアンが見当たらない。そもそもリアンがこんな怪しい連中を放っておく筈はない。
──と。
見覚えのある顔がいた。
「そ、村長?」
村長は、揉み手をしつつ漆黒のローブの男──ギニアスに近づいた。
「ギニアスさん、これで約束は果たしましたよ。後は──」
「分かっている。修繕費はチャラだ。ご苦労だった」
──修繕費?
キリアは首を傾げた。またリアンが何か壊したんだろうか?
「案内、ご苦労だった。後は──」
「はいはい」
「消えて貰う」
「は?」
ギニアスの右手に光の刃が出現した。
──ヤバ!
キリアは咄嗟に短剣を投げつけた。短剣は見事にギニアスの右手を外し、村長の太腿に深々と突き刺さった。
「ぎゃあああああ!」
もんどり打つ村長。そして数刻経たず気を失った。
「誰だ!」
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