第二話 リアンと王様と魔導師再び

18/19
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
 ギニアスは、キリアがさっきいた辺りに光の刃(ライザルナ・ソドス)を投げつけた。もちろんそこにキリアはいない。いつの間にかギニアスの後ろに回り込んでいた。 「動くな」  手には村長から引き抜いた短剣。それは、ギニアスののど元に突き付けられていた。 「この距離なら『外さない』」 「いいのかな?」 「何がだ?」 「私は『取引』をしたのだよ。村長ならリアン殿の結界を欺ける。我々を案内して頂いたのだよ。その替わり、修繕費を──」 「その修繕費って何だ」 「リアン殿が木っ端微塵にした王宮の修繕費だ」  キリアは、こめかみに鈍い痛みを感じた。  ──あのリアン(暴走魔女)めぇ……。 「まず、この短剣を引っ込めてもらおう。話はそれからだ」  キリアはしぶしぶ短剣を収め、ギニアスから一歩離れた。 「名を聞こうか」 「名乗る名はない」 「リアン殿との関係は?」 「答える義務はない」  キリアはもう一歩退いた。後一歩で村長の足に手が届く。 「それより、先に名乗ったらどうだ? さっきの術を見るに、さぞ高性能な杖を持っているか、本当に魔導師としての能力があるのか。もしかしたら前者かなぁ?」 「……小僧、あまり無礼な事を口にしない方が身のためだぞ?」  キリアはじりじりと後退した。村長の足に届く範囲に入った。     
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!