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ギニアスは、キリアがさっきいた辺りに光の刃を投げつけた。もちろんそこにキリアはいない。いつの間にかギニアスの後ろに回り込んでいた。
「動くな」
手には村長から引き抜いた短剣。それは、ギニアスののど元に突き付けられていた。
「この距離なら『外さない』」
「いいのかな?」
「何がだ?」
「私は『取引』をしたのだよ。村長ならリアン殿の結界を欺ける。我々を案内して頂いたのだよ。その替わり、修繕費を──」
「その修繕費って何だ」
「リアン殿が木っ端微塵にした王宮の修繕費だ」
キリアは、こめかみに鈍い痛みを感じた。
──あのリアンめぇ……。
「まず、この短剣を引っ込めてもらおう。話はそれからだ」
キリアはしぶしぶ短剣を収め、ギニアスから一歩離れた。
「名を聞こうか」
「名乗る名はない」
「リアン殿との関係は?」
「答える義務はない」
キリアはもう一歩退いた。後一歩で村長の足に手が届く。
「それより、先に名乗ったらどうだ? さっきの術を見るに、さぞ高性能な杖を持っているか、本当に魔導師としての能力があるのか。もしかしたら前者かなぁ?」
「……小僧、あまり無礼な事を口にしない方が身のためだぞ?」
キリアはじりじりと後退した。村長の足に届く範囲に入った。
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