15人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
「リアン、お前さんはこの村を守る義務がある。違うかね?」
「……いきなり何を言い出すのよ?」
村長は一旦リアンを無視した。
「キリア。一応礼を言わせて貰う。あのままではわしは死んでおった」
村長はリアンに向き直った。
「リアンもだ。リアンの治癒術がなかったら、わしの足が片方なくなるところだった」
村長は、黙り込んでしまった二人を見、頭を下げた。
「二人とも、ありがとう」
一瞬の沈黙があった。
──ここだ!
村長の目が鋭く光った。
「だがな。巻き込まれたのがわしだったからよいものの、もし他の村人に危害が及ぶようならタダではおかん。それだけは肝に銘じておいて欲しい」
「……」
この言葉に二人は意気消沈。すっかりしょげてしまった。効果てきめんだった。
「ところで、リアン」
「……はい」
「『アレ』とは何だね? 一応わしはリアンの言いつけ通りに動いたのだが」
「ああ、その事。実はね」
「リアン、それ言っちゃっていいの?」
キリアが口を挟んだ。
「だって仕方ないじゃない。村長は被害者なのよ、あんたの」
「や! あ、あれは不可抗力と言うか何と言うか……」
「当たりもしないナイフ投げなんかするからよ」
「だって、あの時はああでもしないと」
最初のコメントを投稿しよう!