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第二話 リアンと王様と魔導師再び
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薄い茶髪が目立つ少年が、崖から見える眼下の町並みを見下ろしていた。
遠くに、森に囲まれた一軒家が見える。リアンの根城だ。
「やっと戻って来たはいいけどさ」
彼は、リアンが『お使い』に出した、弟子のキリアだった。
リアンから『周辺国の状況を偵察して欲しい』と言われ、村を離れたのだが、そもそもが無駄だった。
「あのバカリアン、何が『秘密裏』だよ」
キリアが偵察の対象としていたのは、各国の諜報員や魔道士教会の連中だ。
だがリアンやキリアの思惑とは裏腹に、彼らの話題は『ある出来事』一色だ。
曰く、テューア王国が軍事国家となるその布石ではないか。
曰く、魔道士教会の人間を受け入れないのも、実は『ソレ』を保有しているためなのではないか。
とにかくきな臭い噂でいっぱいだ。
そんな話が、剣も魔法関係ない、田舎町まで広がっていた。
「とにかくリアンに早いトコ伝えないと」
キリアはガシガシと頭を掻き。
ゆらりと残像を残し。
ふっと掻き消えた。
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