2.沈む

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心を奪われても、何かが大きく変わるわけじゃない。 ____ 歳を重ねる事に、環境は少しずつ変化していく。 1人で完結できることはなくなって、協調性なんてものが求められる。 だから私は"私"がどうすれば周りから浮かないのか、考えて生活する。 私に出来る唯一は「周りに合わせる」ことだけだと気づいた。 ざわざわとした騒音に耳を塞いで必死に耐えた。 楽しくもないのに口角を上げる。 「そうだね」「そう思う」周りに合わせる。 周りに合わせれば、それで全てが進んでいく。 諍いも起きない。 誰も嫌な顔をしない。 初めは楽だった。 けれど、どんどん、呼吸が苦しくなっていく。 左右も上下もわからない、真っ暗な水の中。 もがいてる。 そんな感覚。
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