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×××は次の日、何事も無かったように私に接してきた。あまりに普通だから「ペンを、返して」と私は言えなかった。また、あのニヤニヤと嫌な笑い方で私を見られることが怖かったから。
(私は、弱虫だ)
次第に私は部屋へ籠るようになった。
カーテンを締切った薄暗い部屋で私は1人の世界を作り出す。私一人で完結する理想の場所。
たまに、友人、が尋ねてきた。
「学校おいでよ」
、とその子は笑って言う。
「うん」
「みんな待ってるよ」
嘘だ、と思ったけれど私は口には出さなかった。
両親も呆れたように、私を叱る。
夜にどうして行かないのだと叱られて、朝が来て、仕事だからと慌ただしく家を両親が出ていく。
その繰り返しだった。
だけど、私だってこんな生活続けられないことは理解していた。
人は社会と繋がらかいと生きていけないことを知っていたから。
「明日、待ってるね」
、と友人が言った言葉を少しだけ信じてみようと思った。朝になったら、布団から出て、学校に行く支度をして、何食わぬ顔で登校してみよう。
そう思っていた。
だけどその日の朝、私は起きられなかった。
起きなければいけない時間には起きていた、けれど、心臓がバクバクと跳ね上がる。頭が痛くて、吐き気がして、結局その日も私は学校を休んだ。
一度外れた道に戻るのは容易ではなかった。
その日から、全てが敵に見えた。
話し声がすべて私を中傷している気がして、怖くなる。
周りからの目は刺さるようで、あの子にどう思われているか、あの先生にどう思われているか、果てには顔見知りの近所の人たちの目も気になった。
人の目は私にとって恐怖の対象でしかなくなった。
舞台の上のきらびやかな演者への憧れはどこかに消えていた。
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