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俺の名前は如月大地。年は17、高校2年生。趣味は読書。中でも異世界転生でモテモテってやつが好きかな。運動はかったるいからやらない。特技は妄想。
異世界に転生して新たな人生をおくるのは現実では無いことだし、せめて妄想の中でモテモテ人生でもいいんじゃなかろうか。
悲しいことに、現実では女子に話しかけられることもなく、しゃべりかける勇気も当然なくて。
このまま大人になるのかね……
「ちょっと、そこのあなた」
とても綺麗で、そうまるで澄んだ湖のごとく、さわやかな風まで吹いてきそうな声。
妄想しすぎて、幻聴が聞こえてるのか?
「聞いていらっしゃる?」
少し怒った調子もまた堪らないな。ふむ、CVはきっと……
「そこの、ぼっさり頭の冴えない風貌の男の方!」
どごっと鳩尾に硬い感触と痛い感覚がやってきて、妄想の世界から帰還した俺が目にしたものは
茶色の表紙の本1冊。
しかもふわふわと目の前で浮いている。
「やっと気がついたようね」
本が勝手に開き、中のページが風もないのにぺらぺらぺらとめくれていく。
「ごきげんよう。私の名はリーリア。刺繍や読書より心躍る冒険が大好きな15歳よ」
とりあえず、夢かもしれない。テンプレ行動だが頬をつねってみよう。
「いった」
「遊んでいる場合じゃないのよ!人生最大の事件発生ですわ」
ぶんぶんと殴りかかるように本が迫ってくる。
「俺の人生でも大事件発生だ」
顔を手でガードしながらぼそっとつぶやく。
リアル女子ではなく、話す本。しかも令嬢!これが大事件でなくてどうする。
読者に語りかけてくるような文体。この本はお子様向けなのかもしれない。
タイトルが見えるといいんだが。
とにかく人通りがないとはいえ目立ちすぎる。
「話は家でゆっくり聞くよ」
ふわふわ浮いている本を手に取り家に向かう
「ちょっと、、もう少し丁寧にしてくださると嬉しいわ」
家に着き、部屋の中で1人と1冊。間にはお茶が2人分ある。まあ、俺しか飲んでいないんだけど。
「さてと、話をまとめるとだ。なにかわからない力に引っ張られてこの世界に来たと」
「そうゆうことになるわね」
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