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「如月様、大丈夫ですか?」
リーリアの声で目を開くと、広大な草原、青い空、そして美少女のそろいぶみ。
天国なのか、ここは!
「魔物退治で疲れちゃったの?」
まったく知らない声が上から聞こえる。
振り仰ぐと木の上に寝そべるようにして赤い髪の少女が1人。
あれ?妄想の中のハーレムの1人アルーシアに似てるような……
「アルーシア?」
「はいはーい、あなたの恋人アルーシアだよ」
語尾にハートマークがつきそうな口調で俺のひざに飛び降りてくる。
すごい衝撃を覚悟してたけど、とすって感じだった。
まあ、俺の妄想のなかだし当たり前か。
「如月様、返事してください。如月さまー」
リーリア、なんで泣きそうな声になってるんだ?痛くもかゆくもないんだけど。
でも、ゆさゆさっとゆすられる感覚、そしてどすんという何か硬いものが当たった感触。
妄想とは全然違う。
「いった」
「ああ、良かったですわ」
リーリア(本)が見える。ゆっくりと辺りを見回すと、薄暗い本棚がある。気がつかないうちに夜になってたとか?盛大に夢を見てたんだな。
「私に魔力を注ぎお助けしていただいたこと感謝しても足りず、その上如月様の身がこのようになったからには責任を持って私が一生お力添えいたしますわ」
何がなんだか分からないけど、人生かけてもらうほどではないんじゃないかな。
「いやいや、リーリア顔上げて。っていうかふわふわ前みたいに元気よく浮いてて欲しいかも」
ぺったり床に倒れているようにしか見えないリーリアに声をかける。
裏表紙をそっとなでようとして、手の感覚がないことに気がついた。
「ホワイ?」
思わず怪しい英語になる。
「落ち着いて聞いてください。如月様は、本になっております」
「まじで?」
目の感覚や耳、鼻はそのまま。なんとなく本になった感じはするかも。
でも自分が本だと読めないのが残念だな。
「リーリアみたいにふわふわ浮いてみたいんだけど」
「如月様の魔力なら簡単にできますわよ」
ふむ、イメージが大事なのか?ふわふわと浮く俺。
「おお、できた」
しかし、硬いままというか、リーリアが前に見せてくれたページが風にまくられる感じのもしたいな。
「ひらけーごま」
なんてテンプレを言ってみる
ぴゅーと風が吹きページがめくれていく。この感じはけっこう好きかも。
「わわわ、如月様凄すぎですー」
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