ぱんどらの本

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 先輩が留年してしまったのは、大切な同窓生を失ってしまったことと深く関係しているようだった。  先輩と付き合い始めて半年経つけど、その時のことは聞けないでいる。 「先輩、ごめんなさい……私、無神経に……」  はしゃいで卒業アルバムを見せてほしいとねだった自分が嫌になって、私はすぐそこにある布団にくるまって逃げ隠れたくてたまらなくなった。ここは先輩の部屋だけど……  と、頭の上を優しく撫でられ、少し顔を上げる。 「お互いつらい思いを経験してきたけど、それを忘れないためにも、アルバムは開けないけど捨てることはできないよな」  先輩はいつの間にか、私の隣に来ていた。そして私の髪をそっと撫でながら、優しい瞳で見つめてくれていた。  私は涙がこぼれそうで、先輩の胸に抱きついた。  そして何度もごめんなさいとつぶやき続けた。  私の背中に手を回し、しっかり抱きとめてくる先輩。  リボンを結び直してくる先輩。  ねえ、先輩……  私のパンドラの箱からはつらさ、悲しみがいっぱい飛び出してくるけれど。  箱の中には希望があるんです。  大切なものを失った日に、先輩、あなたと巡り会うことができました。  いつか私も、あなたの悲しみの箱の希望になれたらいいな……  今は、もう少しだけ、甘えさせてください……
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