4.私の人生は、雨だ

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「りぃちゃん、雨だね。」 少しだけ寝た後シャワーを終えて帰ってきた一哉はまるで他人事のようにそう言った。しっかり帰ってこなかったことからもう口もききたくなくなっていた私は、そんな一哉の言葉も無視して用意をした。 一哉はひたすら謝り続けていたけど、私はそれでも無視して車のエンジンを付けた。そんな私を見て申し訳なさそうにしながら一哉は車に乗り込んだ。 「あいにくの雨ですけど、 30分でも晴れたらできる限り外に行けるようにしますからね。」 会場につくやいなや、カメラマンさんはそう言った。 最近会っていなかった心強い味方ができたみたいに思えて、私はちょっと泣きそうになった。でもそんな感情に浸っている暇もなく、私はいそいそと用意をされた。それは用意をしたというより、されたというのが正しかった。いわれるがままに体を動かしたり、座ったりたったり、しばらくすると和装をビシッと着こなしたいつもと違う私が鏡に映っていた。
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