蹂躙・残党狩部隊本隊編・翻弄

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……魔王アイリスよ、別動隊乙が西外哨拠点を突破した、守備隊は全滅だ…… アイリスが蔑みの言葉を呟いているとフォレストドラゴンから別動隊乙の戦果が報告され、それを受けたアイリスは別動隊乙に前進の継続を命じた後に魔狼とジャイアントマンティスの混成部隊、別動隊丙に別動隊乙の支援を命じた。 残党狩部隊本隊・西方面増援部隊 南と西の外哨拠点に相次いで行われたスケルトンと装甲火蜥蜴の襲撃、その事態は魔王アイリスによる統制された攻撃であったが当事者である残党狩部隊本隊がそれに気付く筈もなく、弛緩気味であった残党狩部隊本隊は唐突な事態に混乱しながらも救援要請のあった西及び南外哨拠点に向けて増援部隊を進発させた。 装甲火蜥蜴の襲撃を受けた西外哨拠点には軽装歩兵1中隊を主力に支援部隊として軽騎兵、魔導兵、弩砲兵の各兵種2個小隊が配属された総兵力約400名の部隊が送られ、進発した救援部隊は遠雷の様に鳴り響く射撃戦の音に急かされる様に西外哨拠点に向けて前進を始めた。 増援部隊が西外哨拠点に向かう小さな道を急いでいると前方から激しい爆発音が連続して轟いた後にそれまで延延と続いていた射撃戦の音が聞こえなくなり、増援部隊を率いている軽装歩兵中隊長は渋面を作りながら口を開いた。 「……どうやら外哨拠点にいた連中は殺られたな、だとしたら装甲火蜥蜴どもはこちらにやってくる筈だ、迎撃態勢を整えるぞっ!!」 中隊長の号令を受けた増援部隊は前方に存在する木々の切れ間に部隊を展開させて迫り来るであろう装甲火蜥蜴の集団を待ち受け、増援部隊の将兵は緊迫した面持ちで装甲火蜥蜴が接近してくるであろう前方を見詰めた。 増援部隊が迎撃態勢を整えて暫くすると前方から下生えを踏み拉く音と装甲火蜥蜴が発したと思われる咆哮が聞こえ始め、増援部隊の魔導士と弩砲兵隊の将兵が緊迫の面持ちで射撃態勢を整える一方、軽装歩兵隊と軽騎兵隊の将兵も槍や剣、弓を構えて前方を見据えた。 緊迫した面持ちに緊張の汗を滲ませながら装甲火蜥蜴を待ち受ける増援部隊、しかし、戦端は増援部隊の将兵が誰一人として予想していない形で開かれる事となった。
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