蹂躙・残党狩部隊本隊編・翻弄

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木々の合間に設置した中弩砲に取り付いて装甲火蜥蜴の出現を待ち受ける弩砲兵分隊に所属する兵士の近くで下生えが揺れる音が響き、突然聞こえた不審な音に訝しげな表情を浮かべた兵士は音のした方向に顔を向け、そのまま驚愕の表情を浮かべて身体を硬直させてしまう。 凍りついた様に身体を硬直させた兵士の眼前では五メートル程もある巨大な蟷螂、ジャイアントマンティスが巨大な鎌を構えて兵士を見詰め、兵士は愕然とした表情で声にならない声をあげる。 「……あっ……あっ……あっ」 「おい、黙ってろ」 兵士の声にならない声を耳にした分隊長は前方から視線を逸らさずにたしなめの言葉を発したが兵士は凍りついた様に硬直してジャイアントマンティスを見詰めながら声にならない声をあげ続け、その声を聞いた分隊長は苛立たしげな表情で舌を縺れさせている兵士に視線を向けながら怒りの声をあげる。 「黙っていろと言ったのが聞こえなかったのか、貴様一体どこをみ……」 怒りの声をあげながら兵士の方を見た分隊長だったが硬直する兵士の前で威嚇する様に鎌を構えているジャイアントマンティスの姿に言葉を喪いながら驚愕に目を見開き、ジャイアントマンティスは唖然として立ち竦む分隊長の目の前で巨大な鎌を振るう。 「……ッガッハ」 ジャイアントマンティスの振るった鎌に袈裟斬りにされた兵士は血飛沫を撒き散らしながら地面に崩れ落ち、兵士の血飛沫を浴びた分隊長は血糊で真っ赤になりながら絶叫した。 「て、て、敵襲!!敵襲!!背後にて……ガアァァァッ!!!」 分隊長が迸らせていた絶叫はジャイアントマンティスが一閃させた鎌によって強制的に終了させられ、ジャイアントマンティスは骸となって崩れ落ちる分隊長を尻目に鎌を振るって驚愕の表情を浮かべた弩砲兵隊の兵士を次々に切り裂いていった。 突然の事態に周辺に展開した弩砲兵隊が浮き足だっていると木々の合間から4匹のジャイアントマンティスが出現して狼狽える将兵達に襲いかかり、増援部隊は5匹のジャイアントマンティス、別動隊丙の攻撃によって大混乱状態に陥ってしまった。 突然の襲撃と混乱により2個軽騎兵小隊の60騎の乗馬は脅えて暴れかけてしまい、軽騎兵達は懸命に馬を宥めて壊乱状態に陥るのを防いでいた。
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