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火蜥蜴の姿を目にした中隊長が驚愕の叫びをあげているとその声が聞こえた様に形状の異なる2種類の頭部を持つ双頭の毒大蛇ポイズンサーペントが4匹下生えを突き抜けて姿を現して最後尾を進んでいた魔導兵小隊に襲いかかり、4匹のポイズンサーペントは瞬く間に魔導兵小隊を蹴散らして動揺する軽装歩兵達に毒液を浴びせながら襲いかかってきた。
「……ば、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、こ、これは、これは間違いだ、こんな、こんな馬鹿な事が起こる筈が」
「ぜ、前方よりスケルトンの大群来襲!!」
中隊長が混乱し崩壊しつつある自軍の様子に呆然としながら呟いていると悲鳴の様な報告がもたらされ、それを受けた中隊長が青ざめた顔で前方に視線を向けると此方に向けて進んで来るロジナ候国軍の軍装を纏ったスケルトンの集団が視界に飛び込んできた。
前進するスケルトンの先頭集団は南外哨拠点を守備していた軽装歩兵達の首を無造作に掴んで掲げており、火蜥蜴とポイズンサーペントの攻撃に混乱している増援部隊の将兵はその光景を目にして更なる混乱状態に陥ってしまう。
スケルトン達は火蜥蜴とポイズンサーペントの猛攻に立ち往生状態の増援部隊に近付くと先頭集団が手にしていた南外哨拠点守備隊の首を放り込み、生首を放り込まれた軽装歩兵達が浮足だつ中、粗末な造りの剣を掲げて混乱状態の増援部隊へと雪崩れ込んだ。
呆然自失状態に陥っていた中隊長は漸く我に帰ると慌てて部隊の態勢を整え様としたが数匹の火蜥蜴はそれを妨害する様に中隊本部の辺りに火球を叩き込み、その内の一発が中隊長の至近距離で炸裂して中隊長を吹き飛ばしてしまう。
指揮官を喪った増援部隊は完全な崩壊状態に陥ってしまい、スケルトン部隊は火蜥蜴やポイズンサーペントと共に混乱する増援部隊に容赦無く攻撃を続けた。
ダンジョン上空
陣営から進発した2つの増援部隊に対する攻撃は完全な成功を収め、アイリスは満足げな表情で戦局を確認しながら口を開いた。
「……あらあら、圧倒的じゃない、あたし達の軍勢は」
……そろそろ行くか、魔王アイリスよ?……
アイリスが呟いているとフォレストドラゴンから確認の問いかけがあり、アイリスはゆっくりと頷きながら言葉を続けた。
「ええ、そろそろ行きましょう西外哨拠点跡を通過し戦闘地帯を避けつつ陣営に向かうわ」
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