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「ええ、そろそろ行きましょう、西外哨拠点跡を通過し戦闘地帯を避けつつ陣営に向かうわ」
アイリスの言葉を受けたミリアリア達は引き締まった顔付きで頷き、それを目にしたアイリスは頷きながら小さく指を鳴らした。
アイリスが指を鳴らすと同時にライナの目の前の虚空に小さな箱が出現し、ライナが慌ててそれをキャッチするとアイリスがウインクしながら声をかけてきた。
「開けてみなさい」
「は、はい」
アイリスの言葉を受けたライナが慌てて返事をしながら箱を開けてみると中には3つの小さなカプセルが入っており、それを目にしたライナ達が怪訝そうな表情を浮かべているとアイリスが悪戯っぽく微笑みながら言葉を続けた。
「そのカプセルにはあたしの造った使役獣が入ってるわ、メタルゴーレムとトーテムミノタウロスに一角竜よ、急拵えだけど戦闘力はそれなりにあるから使ってみなさい」
「ありがとうございます、アイリス様」
アイリスの言葉を受けたライナは深々と一礼した後にリーナとアリーシャを加えた3人でカプセルを別け合い、アイリスはそれを確認した後に抱き抱えているミリアリアを見ながら言葉を続ける。
「……それじゃあ、行くわね、あんまり、無理して欲しくないけど、そんなお願いしても無理よね」
「……すまない、既に過去の存在になったとは言え私はヴァイスブルク伯国の第三騎士団長だった身だ、それに今から始まるのは虜囚の辱しめを受けた戦友達を救出する戦いだ、だからその言葉には従えない」
アイリスの言葉を受けたミリアリアは申し訳無さそうに答え、それを受けたアイリスは穏やかに微笑んで頭(かぶり)を振りながら言葉を続けた。
「それが貴女だもの、気高く凛々しく、そして可愛いエルフの騎士団長さん、だから貴女らしく戦って、あたしは魔王として好き勝手に貴女についていくわ」
「……ありがとう、貴女には何時も貰ってばかりだな」
アイリスの激励の言葉を受けたミリアリアは自分を抱え上げるアイリスの腕と柔らかく包み込む柔らかな肢体からアイリスの存在を噛み締めながら謝意を告げ、アイリスは穏やかな笑みを浮かべて頷いた後に傍らのフォレストドラゴンに語りかける。
「それじゃあ行きましょうか我が同盟者(フェデラートゥス)たる魔龍よ」
……うむ、征くとしよう我が盟友、魔王アイリスよ……
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