けれどお城に戻ったら二人は元通り、王子様とただの女の子です。

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「どうして? アメリカの大統領と日本の首相だって、『ドナルド』『シンゾー』って呼び合う仲だよ?」 「ちょっ、比較対象が違いすぎでしょう!?」  あぁ! 敬語! 敬語は!? 「どうして? 同じ人間でしょう?」 「くくりが大雑把すぎです!」 「そうかなぁ。でもとりあえずモーニングの場所まで案内してくれると助かるかな? 昨日まで朝食も食べてなかったからね」 「……」  あれ? これはどうだっけ? お客様を案内する……。 「これもダメ?」  うん、確かにそれは私の業務範囲内。脳内で確認するために、小さく一度深呼吸して考える。……うん、間違ってない。 「……こちらです、ミスター」  だからそう言って歩き出したのに、ついてくる気配がない。
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