けれどお城に戻ったら二人は元通り、王子様とただの女の子です。

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「出たのか?」  凄まれると、白井マネージャーの整ったお顔は途端に怖くなる。いや、普通でもかなり怖いけど! 優しいのはお客様限定だけどっ! 「いいえ、でも、きっと急用なんだと思って! だからっ」 「とりあえず来い」  白井マネージャーは、一緒『しまった』という顔を見せたが、すぐさまそれを隠して私の手からスマホを奪うと、私の手を取ってスタッフオンリーのドアを抜けた。 「あ、あのっ、すぐに折り返した方がっ」 「黙れ。誰かに言ったか?」 「いっ、いいえ!」 「なら一生黙ってろ」  そう言うと、白井マネージャーは今着てるジャケットの内ポケットにスマホを仕舞ってしまった。 「……あの」 「仕事に戻れ」 「でも、すぐに電話したほうがっ、ご家族の誰かなんですよね? 病院から掛かってくるなんて余程の──」
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