けれどお城に戻ったら二人は元通り、王子様とただの女の子です。

38/42
前へ
/142ページ
次へ
「黙れ、雨宮」  静かにそう言われ言葉を飲み込んでしまったけど、手を握りしめて一歩前に出て──。 「前に、私の祖母が入院したときも帰らせてくれたじゃないですか! あれ、すっごく助かりました。帰らずに仕事してたら後悔したと思います! だから、行ってあげてください! 白井マネージャーが居なくてもちゃんと仕事します! マネージャーの分までちゃんとやりますからっ!」  言った。言っちゃった……。  じっと私を見下ろす白井マネージャー。  きっと、生意気な、とか偉そうに、とか半人前のくせに、とか思ってるだろう。  いや、実際その通りだから反論は出来ないけど。 「えと、生意気言ってすみませんっ、でも、多分、あとで後悔するっていうか、何も無かったらそれはそれで良かったというか……」 「……」
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

558人が本棚に入れています
本棚に追加