けれどお城に戻ったら二人は元通り、王子様とただの女の子です。

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「あ、あの……」 「お前が俺の分まで働くって?」 「やっ、それは言葉のアヤと言いましょうかっ、でも、やれることはっ」 「はっ! 大言壮語もいいとこだな? 雨宮っ! あははっ!」 「だっ、だからっ、出来る限りって意味でっ!」  なんで? なんで笑うの!? そんなにおかしいこと言った!? 「まぁ、入院してるのは俺の両親でも祖父母でも無いんだがな」 「でっ、でも、マネージャーに連絡来たってことはっ」 「そうだな、少し待ってろ」 「……」  そう言うと、渡したスマホに指を滑らせて耳へ当てる。 「──白井です。お電話頂いたみたいで、はい……」  白井マネージャーの顔色からは、どんな状態なのかさっぱり読み取れない。  だけど、私の手のひらにはじんわりと汗を感じる。  だって、私がお婆ちゃんの電話を受け取ったときは──。
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