あるところに、それは普通の女の子が働いてました。

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 ホテル業務というのは、基本24時間だ。だから私の帰宅時間もまちまちで、しかも独身だから必然的に星空を見上げながら帰ることが多い。 「やっぱり、見えないよね……」  都会では星は見えないというのは本当で、あの島で見たような星を見ることはない。  昔は文字通り数えきれないほどの星を、ずっと眺めていた。いつかは本気になって、星のかずを数えてたっけ? それでも夜は明けなくて、二人して馬鹿みたいに数えてた。  そう考えると、都会とあの島では流れる時間の速さは違うのかもしれない。  そんなことを考えながら、家路を歩いてたのだけど、思わず足を止めて声をかけてしまった。
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