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「それでしたら、うちのホテルでも構いませんか? ここから近いですし。明日は何時のフライトですか? お時間分かりましたらモーニングコールもいたしますし、ハイヤーの手配も致しますから」
そう提案すると、女性はキョトンとして私を見上げた。
「あなた、ホテルで働いてるの?」
その質問に私は笑顔で「はい」と答えた。
「四つ星を頂いているので、それほどこ不便はないかと思うのですが……」
近くで見て、分かった。手入れの行き届いた指先は、私の祖母のそれとは全然違う。着ているものもブランドまでは分からないが、かなり上等なものだ。腕につけられている時計は、ハリー・ウィンストンの年代物となれば、安ホテルには泊まりたくないだろう。
もしかしたら、四つ星でも駄目かもしれないと思いそういえば、彼女はニコリと笑顔を見せてくれた。
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