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しかし、そこからが最初の壁だった。音楽が好き=センスがあるとは限らない。
何事もそうであることは分かっているのだが…分かっていながらもその悔しさを隠せない自分がいるのも確かだ。
たった3ヶ月ではあるが周りのみんなと比べて、中々上達しないという現実を突きつけられた。
それでも軽音部をやめなかったのは決して部活動を甘くみていたわけではない。
ただ、それ以上に音楽が好きで楽しいからという単純な理由だ。
仕切り直しまでのほんの数十秒間でも野上は真剣に確認を行っており、手を抜く様子など微塵も感じられない。演奏中はしっかりと聞くことのできないピアノの音がチューニングをする瞬間ははっきりと聞こえる。
その音はまるで雨上がりに見える虹のように綺麗だった。
幼少の頃から音楽によく触れており、いつからか他人の音を風景や情景でイメージするようになっていた。そして、それは高校生になった今でも変わることはなく、自然と音のイメージが浮かび上がってくる。
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