89人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当の俺なんて見栄っ張りで独占欲の塊で自分のことで精一杯なことが多くって……あー何言ってるんだろ俺、カッコ悪……。」
はーっと大きな溜め息をついた昂輝さんのことを私はただ見ることしかできず、なにか言いたいことがあったけど声が出なかった。
「不安にさせてただなんて気付かなかったし、いつもまだ少し緊張してていいなー……って……だけど今日はいつもよりもなんだか少し表情曇ってるなーぐらいしか気付かなかったし……。」
少しこっちを見てまた「ごめん、」と言う昂輝さんにそんなことないと言いたいけどさっきとは違うスーっと涙が出てきた。
「それと……ホント恥ずかしい話いつも一回しかしないのは慣れてないよなって思うのといつもするとき少し泣いてたから……苦手かと思って……自分がうまいのか下手のなのかもわからないけど欲には勝てなくて……だから……、」
話を聞いて前から分かっていたが嗚呼、私すごく大切にされてたというか気を使われてたなと思い嬉しさ半分情けなさ半分で無意識に一瞬手で口元を覆ってしまった。
「痛かったよね、ごめん。」
「…そんな、こと。」
困ったように笑った昂輝さんにこんなところでも気を使わないで欲しかった。
もっと、私が言えることじゃないが対等でいてほしい。
最初のコメントを投稿しよう!