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「あ、え、すいませんっ!小銭すぐ拾います。」
「あ、いいよいいよ気にしないで自分の書類拾いな。」
彼女はすぐに頭を下げ、しゃがみ自分の書類よりも先に俺の小銭を拾い始めた。
俺も一緒にしゃがみ小銭なんてこんな言い方悪いが踏まれても大丈夫だが書類なんて踏まれたら大変だからと思いお互いがお互いのものを拾い始めた。
「(こんな時だけど、この子めっちゃいい匂いする。)」
推定だが脇ぐらいまである髪のせいで顔はよくは見えないが、そんなに甘さを感じない花のような香りがした。
キツいのは嫌いだがこれぐらいで尚且つ甘くないのは、好印象がある。
「はいこれ、全部あるか確認してくれる?」
「あ、有難うございますっ!」
そこで初めて顔が見え口元が一瞬緩みそうになる。
昨日の晩あんなに一目惚れを馬鹿にしたようなことを思っていたのに、なんかの安いドラマで言っていたがまさに今、
「落ちた…、」
「え、?」
まさに今恋に落ちたと29歳にもなってそう感じたと同時に薄ぐろいものを感じた。
「(あ、この子。)」
どうしても手に入れたい。
ここで初めて仕事以外で感じる独占欲を感じた。
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