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何故だか口元を抑え俺の胸の少し下あたりを見てこの世の終わりのような顔をしているのからそこを見ると確かにこれは少し固まってしまうかもしれない。
「あ、…あ、あのー……。」
「あ、嗚呼ー、ま、ボタン締めちゃえば見えないしロッカーに変えがあるから気にしないで。」
「そんな!弁償します!」
「いいよ、安物だし。」
慌てふためいて泣きそうな顔をさせてしまってこちらもどうしようか悩んでしまう。
彼女が凝視していたところを見ると深緑色のネクタイにほぼ赤に近いピンク色の唇の形をしたものがあった。恐らく一回目にダイブした時についたのだろう。
本当にこの位置ならボタンを締めれば見えないしロッカーに青と黄緑の柄ネクタイがあるからそこまでと思う。
「ほら、大丈夫でしょ。」
「でも…。」
ボタンを閉めて見せても表情は変わらず表情からして「どうしよう、どうしよう。」というのが読み取れた。
本当にどうしようかと思ったら、どうにも自分にしては性格の悪いことを思いついてしまい少し口角が上がるのが自分で分かった。
「じゃ、」
「なんでしょ!そんなに高いものは買えないのですが…、」
「ネクタイはいいから、」
「え、」
なんでー!?と表情から見えてわかりやすい子だと思い声を上げて笑いそうになった。
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