私であることの 存在証明

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自転車を押している・その横を歩く 街並みが切れる/ 柿と茜が混ざったような時間が背景になって・何本ものケーブルが鉛色にしか見えなくなった是政大橋まで 二車線の道が続く 「英語・宿題あったけかな」 「今日やったプリント・終わってなかったら最後までやっておく」 「『英単語ベーシック』どこまで覚えた」 「2周目のイディオムが終わって 今3周目を確認中です」 「ミニマルフレーズだから 覚えやすいだろう」 現在の日本では・恋(カタオモイ)とされているが・私の脳みその視点では無限の想いとなる/ 私に届くあなたは スペクトルに連続しており・だから数えることはできない 「大学・どこに行くか決めたのか」 「絵を描くのが好きだから・芸術系のどこかに受かればいいんだけど」 「どっか なんて言ってると・結局どこにもシュート決まんないぞ/やりたいこととか 得意な分野とか生かせるところを・ちゃんと選ばなくちゃ」 「そういうあなたはどうなの」 「そうだなぁ・バスケットは まだ続けたいしな」 昔の日本では・音階を五音とし 赤黄緑青紫を五色として考えられていたが・夏目漱石くんは・それに衛星類のオレンジの月色と天文染料のインディゴの夜色を加えた/ 漢詩は 陰陽五行思想に基づく五音や七音がら作られ・日本の俳句の音も五 七 五音からなるからだ/ 彼は人の想いが無限に変化していくことを知っていたが 「月が 綺麗ですね」としたかった
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