私であることの 存在証明

5/5
前へ
/11ページ
次へ
自転車を立ち漕ぎしながら・多摩川の川岸のサイクリングロードを走っていく 是政橋の上から 後ろ姿を追っていく・と 急に自転車が止まった 「じゃ・また明日な」 振り向きざまの大きな声が 草色の川原を揺らす/ 多摩川の水が流れる色が単調でも深く・川に沿うように伸びている中央高速道路を走る車たちの音色が 遠く微かに聞こえてくる 大きく手を振ってみる 家の方角に体を向けて歩きはじめようとして・やっぱり立ち止まって振り返る 脳みそを白いキャンバスにして・瞳に映るこの瞬間の風景を留めておければ・と思う 風景にあるさまざまな存在をどのような色に感じるのかは・心理学の問題ではなく 私の存在証明の問題になる つまり・それは 私にはまだ「愛」とはいわない存在 である 〔Wikipedia contributors. "虹." Wikipedia. Wikipedia, 23 Aug. 2018. Web. 23 Aug. 2018〕
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加